2010年から仙台を拠点に活動する“ハードロック・バイオレンス”バンド、OiDAKiの2017年ファースト・フルアルバム。
スラッジをやるために大阪から仙台に来たウエダ(Dr)を中心に、グラインドをやるつもりだったホシ(Ba)、同級生とバンドがやりたかったショウジ(Gu)、節操のないメン募にまさかの応募テシロギ(Vo)の4人から成る。
聴き手を飽きさせない様々なリズムで躍動するドラムと、どっしりとうねるベースがグルーヴを生み出し、そこにブルージーで筆舌に尽くしがたいギター、生々しい絶叫と詩を吐くヴォーカルが乗り、これらが混然一体となって攻めてくる。
その音は、ドゥーム/ストーナーロックを基盤としてはいるが、スラッジ、ハードコア、グラインドなどのエッセンスも注入、粉砕、混和させており、何々の様に〜とは形容し難い、まさしくOiDAKiならではのサウンドとなっている。
細かいジャンルはどうでもいい、生々しく泥臭い“ロック”である。
これまでに、CAPITALIST CASUALTIESの仙台公演のサポートを始め、Sithter、Su19b、CARAMBA、不幸、Hemipenis、SNOWLINE、Inside Charmer、BROB、Red Ran Amber、TAINTED DICKMEN、Color Me Blood Red、おまわりさん、alt of the societyといった様々なバンドを仙台に招聘している。
数々のハードコアバンドを輩出してきた仙台から、今後要注目の4人組が放つ衝撃作。
地元老舗ライブハウス主宰のBIRDLAND RECORDS REVOLUTION ☆ ROCK レーベル 第4弾として遂にリリース!
1. くさばみ
2. 硫黄
3. メズマライズ
4. blue guitar
5. 新呼吸
6. ステート
7. フィアレス
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思い返せば、センダイ・スラッヂ・ヴァイオレンス "OiDAKi" に出会ったのは2011年の事。
「こ、これは乗れる」という言葉と共に、その時センダイ・パンク・マスター紺野さんから手渡されたのが、OiDAKiの1st Demo CD-Rだった。
それから早幾年、スラッヂを出発点にハードロック/ブルーズ/グラインドを合体させた耳に残る超合金サウンドに、
氏の言葉通り乗せられ続けている。
彼らの楽曲は殆どが長尺でありながら、途切れる事が無く与えられる緊張感と多幸感の連べ打ちによって、
「もっと浸りたい」と心を捕らえて放さない。
それは、巧妙な仕掛けが施されていながら親しみ易い楽曲と、堅実さと爆発力を兼ねた技に、退屈する事が許されないからだ。
触れてしまった初心者は彼らに引き摺り込まれ、慣れ親しんだ狂信者は自ら駆けずり回る。
この音源の発表によって、スラッヂがニュー・オーリンズだけの、ブルーズがシカーゴウだけのものではなくなったように、
秘祭のような存在だったOiDAKiが白日の下に晒され、皆に歓喜と狂乱をもたらす時がやって来る。
個性豊かなメンバー4人の貪欲な姿勢で、これからも皆を底無し沼へと誘って欲しい。
text: For Victory Records,Awesome Mosh Power Records,Ignorant Scene
Distribution owner 小北則介
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OiDAKiの新盤をくゆらせる。
彼らの生み出す揺らぎとうねりのようなものが俺は好きだ。
ヘヴィネスの理解が根本的に違うから機材頼りにならない精神性も潔い。
エクストリームミュージックの土俵に身を置きながら、勝負手は鉄分や貫目への意識より取り繕いの無い生身のロックというわけ。
酩酊・覚醒を繰り返すブルーズギターが肝となりバンド全体のグルーヴで揺らし続ける。
ステージ上でのスーパークールなプレイと対照的に、とりわけ肉体的なドラムとのコントラストが非常に面白い。
まるで野生と理性が共鳴しているかのようだ。
だが実はリズム隊が裏で粛々コントロールしているというファクトも裏切りがあって尚良い。
所狭しと動き回り、喉が張り裂けんばかりに喚き散らすヒステリックなVoからはこのジャンル特有の退廃的な印象が無く、
不思議と希望的な何かを感じることもある。
本人達がどう考えるかは別として、これからの仙台ハードコアシーン、
もっと言えば、いずれ全国のアンダーグラウンドミュージックシーンの台風の目へと成長していくことさえ期待してしまう。
火種を地に落とすことなく、熱を追い続け炊き続けて欲しいと切に願うばかりだ。
text: spike shoes 米田秀一