DEBAUCH MOOD12枚目のリリースは、青森にて結成〜東京にて活動を行うPOWER/MELODIOUS/DRIVING 正攻法STRAIGHT JAPANESE ALTERNATIVE PUNK TRIO『DAWN-THERE IS NO REASON WHY(10")』
2013年、自主リリースされたS/T(CD)において独自の観点を拡張〜心地良き曲センスが際立つバンドの個性を提示。2015年リリースの12"split(w/SHIPYARDS)にて体幹的躍動の増長を独自の進展により一層印象づけた『DAWN』。今作は過去を軽々と上塗りし、ディープに深化させた、まさにバンドにとっての"最高傑作"と呼ぶに相応しい強烈作(全4曲)となっている。
紛れもない『成長』の証を叩きつけるかの今4曲は、各々が限界にまで力を入れ込み、激濃厚・ある種の境地として聴きどころ満載・胃もたれ必至の録音物として大いに鈍く輝く。猛進しつつも強弱の加減が細やかな構築力にてスリリングに光る"FLOWER"〜"UNDER WORLD"にて上昇し、独特の(あくまで身近な)ACID/SPACE展開から相変わらずのスタイルに強引になだれ込む"眩暈"にて胸を抉られる。そして予想外なギターの切り込みが本質的に狂っている泣きの"GROWING UP"までと、そこには現在のバンドが抱える熱量と高ぶりがこれでもかと全てに滲み出る。
ウェット且つ粘りつくように憂うボーカルと対比するかのように、各パートが爆裂に重ねた点は強く重く在り、ドライブ〜ブーストしていく様は印象深く耳にこびりつく。FUZZ用途ながらも、随所でのアタック感がより鮮明且つ心地よくバンドの肝として具体化されたギターは"見せ場"での鮮烈さと輪郭を際立たせ、ベースラインは冷静沈着且つドライな趣にて躍動〜タフ且つメロウな脈拍が曲に与えられていく。そしてインパクト豪快かつ柔軟なドラミングによって生じるタメからの瞬発力〜跳ねるようにブチ上げていくすぐさまの切り替え等によって、『展開力』は導き出されていくのだ。
Bob Mould/Prisonshake/Soulside等を骨格に感じられながらも、それらはより集約され、J Mascisの全遍歴からの呪怨によって弄られ生まれたかの『ヤバいギターソロ』が唐突にぶち込まれる様は痛快という言葉すら生温く、『変態性』(昨今のJ Mascisの様々な形での活動を見れば、彼らの解釈の根を理解できるかもしれない)として完全に見せ場を演出。執着と自己愛撫によってより禍々しいレベルにまで高ぶっていく。
根底はALTERNATIVEな方法論をキャッチーに絞りストレートに荒げていくスタイルながらも、UK〜EURO Psych / Prog.からの多少なりの影響は定かではないが、長き探究の末にたどり着いた"現在"には拳を握らずにはいられない。
そしてThe Cult、A Touch Of Hysteria(LUSHのDrが在籍していた)などデカダントな境地も形骸化にて進んだ上に在ったバンドの音楽の匙加減(これらのバンドがその後90年代以降UKの一部の流れを想起させる事も重要)すらも根底に共通する部分を覚え、合わせて最早PIXIES、THROWING MUSESなどのセンスを攻撃的に進めた結果すらも今作には感じ取れるのではないだろうか。ある意味スタイルは違えど、Seein' redの『MORE OF THE SAME(7")』の充実度すらも感じてしまう程に。
紆余曲折にてたどり着いた一つのスタイルへの回答と衝撃が溢れ出る爆裂盤。そんな「レコードを切る」効果を強く体感する事の出来る完成度にて斬りこまれる”何か”への極端な執着を持つ若年・老年に捧ぐ"炸裂の4tracks"。是非ともお楽しみを。
A-side
1.FLOWER
2.UNDER WORLD
B-side
1.眩暈
2.GROWING UP
16/11/27