岡山産詩人、ラッパー、ボーカリスト、アーティスト、MACCOYによる2022年1stアルバム、自主リリース。
CONFUSIONとゆうハードコアバンドでも活動、mid 00'sに岡山で荒れ狂ったハードコアバンド、CYNIC-19のボーカルとしてその存在感を猛烈に炸裂させていたMACCOYによるソロ作品。
ほぼすべてを自身で作りあげた一枚、その存在感は完全に独自なものへと到達していて、"ほんとうに必要なものは残る"、削ぎ落しと創造、貫く突き抜け、掻き乱していくような浮遊感。
13songs、デジパック&16ページのブックレット付き。
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混沌とした世界の中で、何をすべきか問い続けること。朝靄のような、蒸気のようなものが世界を包み込んでいる。
言語が、言葉が、物質として,オブジェとして、音響の中に配置されているような楽曲。言葉自体が聴く者の身体を揺らし、ビートはどこまでも雄弁に語り続ける。細かに描写される感情や意識。軌跡や輪郭。暗闇の中に燃え上がる、仄かな光に何度も身を焦がす。
絵に例えると、風景画。しかし実は、細部まで狂ったように細かく配置されたちぎり絵のようなコラージュなのかもしれない。頭の上に、街の上に、時代の上に覆いかぶさってくる混沌や、行き先を失ったような感情。それらをそのまま、全部遠慮なく提示することでしか得られないダイナミズムがここにある。
そしてタイトルトラックの『SO FAR』これは、答えすら見つけることも放棄したまま、ひたすら加速していく意識への讃歌のように感じた。遠ければ遠いほど、私たちの実感も増していくのではないかと思った。
風の中に答えは最早、何一つ舞ってなんかいない事を、これでもかっていうくらいヒリヒリした言葉で、ハードコアなマインドで、証明しまくるアルバムだ。
Text by マッシュ星川