1995年結成の東京のハードコア・バンド、NUMB。14年振りのリリースとなった2014年のアルバム『CITY OF DREAMS』からは5年振りの音源となる。すでに「N.W.A. 〜Ninjas With Attitude〜」と「Revenge」の2曲は2018年7月にApple Music、Spotifyで配信リリースされており、今回のEPはその2曲にさらに新曲2曲を追加したものとなっている。2018年のNUMBの大きなニュースと言えば、7月にアメリカのフィラデルフィアで行われたハードコア・フェス、This Is Hardcore Fest 2018に出演したことだろう。4日間に渡って行われるこのフェスは、2006年から続く老舗のハードコア・フェスで、その時代を映し出した旬なバンドのブッキングでも知られている。主催者のジョー・ハードコアによれば、彼がNUMBと出会ったのは20年前のコンピレーション『Nothin But A Hardway』であり、日本のシーンを長い間レペゼンしてきたNUMBのようなバンドにステージに立ってもらいたいと思って、直接バンドにコンタクを取って実現したのだという。先の配信2曲はこのフェスの直前にリリースされたこともあり、フェス当日でもライヴで大いに盛り上がり、忍者のTシャツもよく売れたという。
EPの1曲目を飾る「N.W.A. 〜Ninjas With Attitude〜」は、NUMBならではのモッシュ・パートのセンスが全開の曲。This Is Hardcore Festでも大ウケだったこの曲は、それこそ’90年代のハードコアのセンスを現代によみがえらせたような新しさがある。リリックで歌われる「忍者」はNUMBなりの日本人アイデンティティを表現したワード。だからこそアメリカでもウケたのだ。元ネタがわからない人は「N.W.A.」をググって調べてほしい。2曲目「Revenge」は、速いパートとモッシュ・パートのコントラストがNUMBらしい曲。彼らが通ってきた様々なハードコアを1曲に凝縮したような曲となっている。B面1曲目の「Neo Tokyo Olympics 2020」は、2020年に行われる東京オリンピックを意識した曲。奇しくもNUMBが長年主催してきているライヴ・イベントのタイトルが「OLYMPIK」ということもあり、そのイベントの曲に東京オリンピックを掛けている。フックで歌われる「地下で行われてる東京オリンピック/俺たちはアスリートじゃない、俺たちはストリート出身」がすべてを物語っていると思う。そしてB面2曲目の「There Goes The Neighborhood」は、タイトルからしてボディ・カウントの曲名と同じというのもあって、NUMBらしい先人たちへのオマージュが音楽的にもリリック的にも満載に入った楽しい曲となっている。
なお、前作『CITY OF DREAMS』からラインナップの変更があり、ギターのKENJIROUが脱退、ベースのYURIがギターに代わり、新たにベーシストとしてYUSUKEが加入。レゲエ畑出身のYUSUKEがバンドに新たなグルーヴを持ち込んでいるのも聴きどころだ。また、今回のレコーディングを担当したエンジニアは、Studio Sound Crewの清野修。1996年の1stアルバム『ROAR 365』以来22年振りのレコーディングとなった。
カヴァーアートはフライヤーやマーチャンダイズを手掛けるEND (START FROM END)、バックカヴァーやインナースリーブなどはAAHCのレーベルオーナーであるKEN ONE (ETERNAL B)が担当。これぞまさに信頼出来る仲間とともに作り上げたこだわりの一枚に仕上がっている。399枚限定で、今後CD化の予定はナシのコレクターズアイテム。恐らく店頭に並ぶ事はなく予約完売は間違いない!
H8MONGER (IMPERIUM RECORDINGS / SAIGAN TERROR / DOGGY HOOD$)