1999年大阪にて結成され、活動20年目を迎えるStubborn Fatherの1stアルバムを3LAから2019年リリース決定!
本作はStubborn Fatherのバンドの結成から20年目の1sアルバムとなっている。彼らはこれまでアルバムこそ発表していないが、語るに値する歴史を持つバンドだ。1999年、2000年にそれぞれデモ音源をリリースした後、2枚のミニアルバム『a road that leads to nowhere』(2002年)、『THE GAME FOR BRIDGING THE GAP』(2006年)に加え、2014年には2002年から2012年の10年間の間にリリースされたV.A収録曲、ANCHORとのスプリット(2002年)、R3N7とのスプリット(2012年)を収録した編集盤2本組カセット『2002-2012』をUSのMeatcubeよりリリースし、ソールドアウトしている。更に2014年にはTRIKORONAとのスプリット作品、2015年にはUSのAltar Of Complaints、THETAN、大阪のSeeKとの4way split 12inchをリリースするなど、これまでに発表した作品は10タイトルを超えている。本作は1stアルバムではあるけれども、初期衝動とは全く異なる形でバンドの破壊衝動を持続させながら作り上げた、これまでの活動の歴史の集大成である。
本作に収録されている楽曲の中には、#5「十二日目の麓」や#9「創造の山」といった既存曲も収録されているがそのいずれもがアルバム用の新録となっており、これまでのverとはまるで別物のレベルにまで楽曲が進化しているという点も特筆しておきたい。サウンドエンジニアを務めるのはnemuの音無氏で、2014年に発表されたTRIKORONAとのスプリット作品で見せた音像を更に推し進めた内容となっており、大阪の地で独自進化した激情ハードコア、エモバイオレンスの音を楽曲だけでなく、サウンド面でも更新している。新曲群も当然ながらそのサウンドレベルで統一され、これまでのStubborn Fatherを知るリスナーにも、バンドが新しいレベルに到達できたことを実感できるだろう。破壊的、暴力的に汚れたエモバイオレンス然としたRAWサウンドながら、奥行きのある表現で繊細に細かいニュアンスまでも描いていく独特の激情ハードコアを展開していく様は強烈だが、サウンド以外にも本作の聴きどころは多い。ゲストボーカルとして盟友とも言えるex.ANODEの鈴木氏が参加し#3「隠された太陽」を演奏し、ゲストノイズとしてAUBEの中嶋昭文氏(R.I.P.)が参加し#10「お前は燃えない塵のまま」を演奏している。特に#10は世界的な支持を得ている電子ノイズと関西地下シーンの激情ハードコアという実験的なクロスオーバーを見事成功させており、最高の形でアルバムのクライマックスを迎えている様は必聴だ。
関西シーンの大阪という土地で始まった彼らのサウンドは、海外を起源とした激情ハードコア、エモバイオレンスとローカルのジャパニーズハードコアとが混じり合いながら進化を続け、ここまで辿りついた。数度のメンバーチェンジを経ながら、逆境の時にも音を創造し続けることで前に進んできた。その歴史の節目、20年目に満を持して遂に放たれるアルバムは彼らの存在証明であり、自身のスタイルを極めようする歴史が刻み込まれている。